全日本管楽コンクール

一般プロ:U30の部・髙澤沙季さん

一般プロ:U30の部で優勝した髙澤沙季(たかざわ・さき)さんは、4歳から習っていたピアノが原点にあると言います。中学入学時より吹奏楽にてサクソフォンを始めました。中学卒業後、東邦音楽大学附属東邦第二高等学校に入学し、サクソフォンを専攻。2015年に東邦音楽大学入学。卒業すると大学院に進みます。現在は音楽教室でピアノを教えています。髙澤さんに、優勝したときの気持ちや、ふだんの練習や将来についてお聞きしました。

2015年東邦音楽大学在学中には、1年次にアカデミー・HABANERA・in JAPANに参加。2年次にフランスポワティエにてハバネラ・サクソフォンアカデミーを受講。3年次オーストリア、ウィーンアカデミー、フランス ハバネラ・サクソフォンアカデミーにて再び研鑽を積む。4年次には、ハンガリー・ブダペストの演奏旅行に参加。また、学内定期演奏会ソロ、卒業時には代表演奏会にて代表演奏をする。また アレクサンドル・スーヤ、ジェローム・ララン、フィリップ・ガイス、クロード・ドゥラングル 各氏のマスタークラスを受講するという華やかな活動履歴があります。。
2019年同大学院に入学し、1年次ウィーンアカデミーに再び参加し、研鑽を積む。大学院修了時の修士論文は「クリスチャン・ロバ/9つのエチュード」をテーマとし、発表。修士演奏は、同じくクリスチャン・ロバのエチュード 「KABUKI」 を独奏。
大学院在学中より、各方面のコンクールに挑戦し、第5回 日本奏楽コンクール 第1位および現代音楽賞、ジェネラル音楽賞受賞。第1回 秋のkサクソフォーンコンクール 第1位。第33回 日本クラシック音楽コンクール 第3位 (最高位)。2024全日本管楽コンクール 第1位を受賞しています。サクソフォンは、室内楽を佐々木雄二、平野公崇の各氏に師事。4年次学校主催でハンガリー・ブタペスト演奏旅行に出かけ、現地で演奏会を行ったという髙澤さんですが、卒業後もスキルアップのため各種コンクールをチェックしています。

ハバネラアカデミー。フランスポワティエ演奏会風景

今回、全日本管楽コンクールでサクソフォン部門が新設されたことを知り、早速応募。「受賞は本当にうれしいです! 自分の表現を審査員の先生方に伝えることができたという思いです。審査員から、尺八のような表現が素晴らしいと書かれていて、とてもうれしかった。KABUKIには特殊技法がたくさんあるので、コンクールに出たらどういう結果なのか、興味があったのですが、評価をいただいてうれしかったです。予選、本選でいただいたコメントを忠実に分析して、演奏したい表現をイメージしました」と目を輝かせながら話してくれました。

普段はカワイ音楽教室でピアノ講師をしている髙澤さんですが、大学から依頼される吹奏楽の指導や演奏を行っています。土日は練習に集中したいので、平日にはカワイ音楽教室でピアノ講師として、乳児から大人までの生徒様にピアノの指導も行っています。たくさんの人たちとふれあいながら音楽を共有し、毎日充実した時間を過ごしています。人に教えることで、自分の演奏技術にも良い影響を感じていますと話します。大学院終了後1年後くらいには学生で気づけなかったことが、自然と新しく発見できていると語ります。

髙澤さんは、そんな新しい気づきが得られたからそこからコンクールに参加し最高位を得ることもできたのかもしれません。

2017年-ポワティエ-ミュゼにてソロ演奏

基本的に自宅のレッスンルームで練習している髙澤さんは、土日休日を仕事オフにして、練習に充てています。また、平日午前中の短時間練習ルーティンを心がけています。コンクールの本番の前にはホールを借りて備えています。日本奏楽コンクールを受ける前に、公民館にあるホールに行ってみたところ、音響がよくて、吹きやすく、入場退場などのイメージができました。自分の演奏が客観的に感じられ、コンクールに近い状態で演奏できます。演奏するとき緊張してしまうのですが、ホールでの練習をしているとそれが少なくなったと思うとのことです。

ハンガリー・ブダペスト演奏旅行大学4年

「サクソフォンという楽器は、多種多様な奏法で音楽を表現しやすい楽器です。特に、魅力的なのは特殊奏法が豊富なことです。サクソフォンは特殊奏法でいろんな音が出せます。特別な運指で2つ以上の音を同時に鳴らす奏法やある音とその上の音を交互に演奏することでメロディーを装飾する打楽器のような意外な音が飛び出すスラップタンギングなど意外な音が飛び出すテクニックがあり、サクソフォンの音からイメージできない音が可能になるのが魅力」。

大学院-修士演奏会

私は人からよく普段の姿と楽器を演奏している時とでは、人格が違うようだと言われます。確かに、自分自身でも楽器を構えると別世界に入ったような感覚になります。それは私にとって、とても心地よい空間です。サクソフォンと出会い15年、ようやく演奏の醍醐味を感じられるようになってきたところなのかなと思います。私自身を表現するのにいちばん合う楽器、サクソフォンに出会えたことを嬉しく思っています。

幼少期のピアノ発表会

そんな私ですが、自身の音楽の原点はピアノにあります。幼い頃ピアノに対して抱いた憧れを今も忘れてはいません。ピアノレッスンで感じたよろこびや音楽基礎の学習などがあってこその今、私のサクソフォン演奏に活きているように思います。ピアノは1台の鍵盤上にオーケストラが集約されているとも言われる楽器です。大いに学ぶところ満載です。

東邦ウィーンアカデミーにて-ペーター氏のレッスン

「将来は、海外のコンペティションにも出たい。技をみがいてそのうえで、海外に挑戦したい」と笑顔で語る髙澤さん。きっと、これからも力をつけて、素敵な演奏を聴かせてくれるでしょう。

全国大会での髙澤さんの演奏はこちら