中学生の部で優勝したのは現在高1の鈴木愛奈(すずき・まな)さんです。中学1年生で吹奏楽部に入りクラリネットを始めました。フルートをやっている友人に憧れてフルートをやりたくて入ったのですが、割り振られたのがクラリネットという鈴木さん。3歳からピアノを習っていました。ベースにピアノがあるから、クラリネットも深くなると思うという鈴木さんですが、今は吹奏楽の方が忙しい。ピアノのレッスンの授業がある愛知県立明和高校に通っています。両親ともにクラシックが好きでクラシックまみれの環境にありました。そんな鈴木さんに、受賞の喜びや将来についてなどを伺いました。
鈴木さんにはまず、受賞の時の気持ちをおたずねしました。「たくさん練習した曲なので、最高位になれてうれしいです。自分の中ではすべてではないけれど、演奏に納得ができました。いただいた講評でうれしかったのは、世界観がつくられていて、とおっしゃっていただいたこと。曲は師事している先生から勧められました。コンクールを受けるにはこのくらいの技術の曲が必要だと言われました。音楽高校の入試のときも演奏した曲でもあります。緩急があり、テクニックも難しい。だからこそうまく演奏できた時は達成感もあります。演奏のテクニック的な面と感情表出、どちらもよい講評をいただけたのは、曲理解を大事に練習してきた成果が出たのだと思います」と笑顔で答えてくれました。
2024全日本管楽コンクールファイナルで
今回のコンクールへの参加は、舞台に立つ経験を増やしたかったからという鈴木さん。「予選、ブロック大会が動画審査で首都圏外からでも応募しやすかったです。舞台での演奏はなかなかできません。舞台に立つ経験がプロになるうえで大事と言われていますので、経験を積むためには必要だと思いました。コンクールへの出場は、中2からです。大阪国際音楽コンクールで3位に入賞、菅楽器部門で3位にはいりました。その結果舞台度胸がついたと思います。場数を踏んできたので、舞台で緊張もあまりしませんでした」と言います。
小学5年のころのピアノ発表会
普段は、学校で週に一度レッスンを受けている鈴木さんは、平日は、帰宅してから楽器を鳴らしてもいい9時くらいまでを練習時間にしています。そんな鈴木さんに、クラリネットの魅力をお聞きしました。
「クラリネットの魅力は、全部です」と答える鈴木さん。一番好きなのは、クラリネットの音色だそうです。マウスピースにもたくさん種類があって、音色が変わってきます。私の好きな音色は、丸みのあるまとまった音色で、弾いていて気持ちよくなるような音色が好きだと笑顔で答えてくれました。今回の楽曲でも、そういった音色は出せていたそうです。
2021年 アンサンブルコンテスト バスクラリネット担当
演奏していて、辛いことはないという鈴木さん。将来はオーケストラに入って演奏したいという夢を持っています。海外に出たいという思いもあり、ドイツに留学したいと言います。
師事している先生がドイツに留学していてその話を聞いて、魅力的だと思ったと言います。
オーケストラで演奏したいというのも、周囲の演奏を聴きながら自分が演奏する楽しさを追求したい。もちろんソリストとして吹くのも楽しいと」。鈴木さんは、本当にクラリネットが好きだなと感じました。
「反省点を踏まえて努力するのが楽しい。うまくいかなかった時の演奏をふりかえり、技術や感情表現も工夫して、よい演奏になるように練習します。この間定期演奏会も終えて、次は、冬の演奏会を目指して、頑張っていこうというのが最近の目標。今所属しているのは、師事している先生から紹介された楽団です。お声かけていただいて、オーディションを受けました。指揮を見ながら他の楽器の音も聞くことで、力がついていくと思う。毎週日曜日に練習しています。とても楽しいです」と熱く語りました。
コンクールにチャレンジしたいと思っている人たちに向けてメッセージをお伺いすると、「コンクール等たくさん受けて、舞台に立つ経験をたくさんすることが大事です。舞台での演奏は、家での練習と違う聴こえ方をします。ホールでの経験が自分のスキルを高めると思います」。工夫して練習にいそしんでいる鈴木さん。反省点を踏まえて真摯に演奏と向き合って、これからも実力をつけていくでしょう。
※文中の学年・年齢は、エントリー時のものです。
※インタビューは8月に行いました。
全国大会での鈴木さんの演奏はこちら。