大学・院生の部で優勝した金子麗奈(かねこ・れな)さんは、現在大学4年生。中学でクラリネットを初め、今年で10年目だと言います。地元の音楽活動が盛んな中学校に入学して中学3年生の先輩の演奏を見てすてきだなと思ったことがきっかけと言う金子さんに、受賞の喜びや将来の夢などをお聞きしました。
今のクラリネットは、中2の時に買ってもらったものから2代目で、去年の8月に買い替えました。買うときには熟考して選んだクラリネットは、前の楽器に比べて深みのある音が出るので、表現の幅が広がったと思います。そのお気に入りのクラリネットで今回挑戦したコンクールでは、まさか優勝するとは思わなかったそうです。
「正直驚きしかない、かなりミスをしたからあり得ないと思っていました。失敗したところは、感情が高ぶりすぎて、リードミスや早く指を回そうとした音ミスなど。演奏には満足していなかったけれど気持ちは出し切ったと思います。感情がこもっていて、曲の魅力を伝えられていたと講評もいただきました。悲しい部分や怒りの部分など、感情表現をしっかりしないと生きてこない曲なので、技術よりは音色重視で審査をいただいたのがよかったのかと思います」と笑顔で話してくれました。
最初にコンクールに出たいと思ったのは、この場にとどまっていたらうまくなれないと思ったのと、音楽大学に行きたい気持ちもあって、音大の人もコンクールにたくさん出ているので、そういった人に出会えるということも理由の一つ。たくさんコンクールに出ることが上手くなる近道だと先生もおっしゃっていたので参加を決めましたと参加の理由を話してくれました。
最初のコンクールは、ヤマハ全日本クラシックコンクール。受賞は逃しましたが、全国大会までいき、よい経験になりました。とても緊張しましたが、今回は、楽譜以上の気持ちを表現しようと思い、緊張する暇はなかったです。師事している先生に演奏を聞いてもらって、今まで聞いた中でいちばんよかったと言われましたと言います。
クラリネットの魅力をお聞きしました。「音色の幅が広いところ、気持ちが伝わりやすいところ。クラリネットの師匠から、楽しいと思って吹けば音も明るくなる。自分で考えて音をつくりやすい楽器だと言われました。自分自身が感情が出やすく、喜怒哀楽が激しい。自分自身のことを一番表現できる楽器だと思っています。感情が音色に反映されるのが良いところです」。
そんな金子さんにも苦しいことやつらいときはありました。「うちの大学は演奏レベルが高い、仲間もみなライバルです。よいスパイスではあるけれど、目に見えて自分の実力を比べてネガティブになってしまうこともあり、苦しかったことや辛かったことは多い。自分が演奏がうまくいかないと悔しく、つらいもの。でもそれを跳ね返すには練習するしかない。練習を積み重ね、コンクールへの参加を繰り返すことで実力がついてきます。実績をつけて自信をつけること。受賞すると自信につながるから頑張っています」と熱く語ってくれました。
今年からいろいろなコンクールに出ようとしています。将来オーケストラに入りたいと思っているので、学びを得るために音楽大学に行きたいという金子さん。音楽大学への受験勉強をがんばっています。コンクールはソロで演奏することが多いですが、ずっと吹奏楽をしていたので、将来はオーケストラに入りたいと思いますと将来の夢を話してくれました。
学校にいる間、隙間の時間があれば練習時間にしている金子さんですが、家では1人暮らしなので難しい。音楽大学に入れたら、いい環境で練習できるし、周りと切磋琢磨しながら練習できますと言います。
「これからもクラリネットを続けたいという金子さんは、技術以外にも人間性を磨いて、クラリネットを自由自在に操れるようになりたい。演奏には人間性が反映されてくると思っています。幅広い体験からいい音色が出せるようになります。私にはない考えをもっている人がたくさんいて、そういった人との演奏が自分の力になっています。大学に入って吹奏楽部で知り合った同じクラリネット奏者の親友と切磋琢磨しています」と話してくれました。
最後に後輩へのメッセージをお聞きしました。「コンクールに参加することは度胸試しにもなるし、自分自身への成長にもつながる。人との出会いや、自分への挑戦にもなるので、さまざまなコンクールに挑戦してほしいですね」。
人との中で成長しているという金子さんは、将来きっと夢をかなえて、オーケストラの中で奏者として活躍するに違いないと思いました。
※文中の学年・年齢は、エントリー時のものです。
※インタビューは8月下旬に行いました。
全国大会での金子さんの演奏はこちら。