全日本管楽コンクール

奈良彩葉さん

高校生の部で1位となったのは、千葉県立幕張総合高等学校3年の奈良彩葉さん(ントリー時は2年生)。オーボエの演奏でエントリーしました。放課後、シンフォニックオーケストラ部の部室から、練習の合間をぬってオンラインでお話を聞かせてくれました。

奈良彩葉さん

物心つくころにはピアノに親しんでいた彩葉さん。小学校に入学すると、本格的にピアノの先生にレッスンを受けるようになり、現在まで続けています。オーボエを始めたのは、中学校に入学してから。吹奏楽部に入部したことがきっかけです。

現在、彩葉さんが通う千葉県立幕張総合高等学校は、総合学科の中に文系、理系などにわかれた4つの系列が設けられており、彩葉さんは芸術系例に籍を置いています。授業は、音楽はもちろん美術や書道などの科目から自由に選べる選択制。高校卒業後、音大進学を目指す彩葉さんは、音楽系の授業を中心に選択し、ソルフェージュや音楽理論についても、学校の授業内で学んでいます。一学年約680人のなかには音楽の専門に進むことを希望している同級生も多く、普段から仲間と切磋琢磨できる環境です。

彩葉さんは、高校入学後は部活動のかたわら個人でもオーボエのレッスンを受けています。所属するシンフォニックオーケストラ部は強豪のため、練習には長い時間が充てられますが、部活での練習と、個人のソロ練習や音大受験のための練習は、内容に異なる部分があるため、朝や夜に個人練習の時間を設けて、自分なりに工夫しながら進めています。

今回、全日本管楽コンクールが開催されることは、師事する先生が教えてくれました。コロナ禍で動画審査が主流となるなか、全国大会に進出できた場合にホールで演奏できることに魅力を感じ、エントリーを決めたと言います。
全国大会での演奏を振り返って、「いままで先生に教えていただいたことや、自分で表現したいことを出すことができた」と彩葉さん。高校に入学してからオーボエでコンクールにエントリーしたのは、今回を入れて3回。今年3月に、日本ジュニア管打楽器コンクールで銀賞を受賞したばかりで、続けて今回1位に輝きました。「おなじ曲を演奏したのですが、日本ジュニア管打楽器コンクールでは未完成だった部分があって、納得のいく演奏ができませんでした。そのできなかった部分を、全日本管楽コンクールで挽回できたかなと思います」。

演奏したのは、フランスの作曲家、シルヴェストリーニ作曲の「オーボエのための6つの練習曲より Ⅰ,Ⅴ」。この作品は、1番から6番までそれぞれフランスの画家が描いた絵画をモチーフにしています。彩葉さんは、「1番でモチーフになっているクロード・モネの絵や5番でモチーフになっているウジェーヌ・ブーダンの絵を見たり、作品集を読んだりして、絵や人物について理解したうえで、絵の色彩感や筆のタッチなどを音色で表現したいと思って演奏しました」。
審査員からは、これからのさらなる成長を期待するコメントが並びました。「自分が思っている以上に評価してくださった方が多くて、嬉しかった。それに、新たな視点で聴いていただけたので、それを今後につなげていきたい」と彩葉さんは話します。

彩葉さんがオーボエを演奏する際に大切にしていることは、作曲家がイメージしたものやこうしたいという思いを、なるべく忠実に表現することです。「楽譜に書いてあること以上に表現することも大事だけれど、それで作曲家の意図や解釈と異なる演奏になってしまわないように。作曲家がどんな思いでつくったのか、いつどんな時期につくったのかを調べて、背景を知ったうえで、曲を忠実に表現できたらいいなと思っています」。

 

インタビュー時の受け応えも、メールでのやりとりも、彩葉さんのとても真面目な姿勢が印象的でした。音楽との向きあいかたも、その姿勢が基本にあるのでしょうね。彩葉さんのこれからを、わたしたちも楽しみにしています。

※文中の学年・年齢は、エントリー時のものです。
※インタビューは6月下旬に行いました。

全国大会での奈良彩葉さんの演奏はこちら